“ハンガリーの食べられる国宝”であるマンガリッツァ豚が日本に上陸した。種豚ブリーダーの(株)しまざき牧場(本社:神奈川県厚木市)が生体で輸入したもので、精肉や加工品として輸入実績があったが、生体としての輸入は初めて。厚脂で味の良い豚として梅山豚、金華豚、アグー、サドルバックなどが国内で飼養され評価を高めており、マンガリッツアもその仲間に加わりそうだ。

マンガリッツァ豚は、ハンガリーの在来種で希少品種。正肉の7割が脂肪とされ、世界で脂肪の比率が最も高い厚脂の豚といわれる。「一般の豚肉よりも厚脂だが、スペインのイベリコ豚と同系統の豚とされ、オレイン酸の割合が高く脂の融点が低い。脂がおいしい点に魅力を感じた」(嶋﨑社長)。

輸入先はアメリカ・アイオア州の繁殖農家。雄2頭、雌8頭の計10頭が輸入し、雌のうち4頭は妊娠豚で宮城県の農場に搬入した。いずれも3代前までの血統を遡れる北米マンガリッツア協会の証明書が付いている。

増頭を図るため雌は残し、定期的に新しい血を入れながら、雄の去勢を肥育し、初出荷は来春以降を予定。マンガリッツァの特徴を引き出すため、F1ではなく純粋種で徹底的に改良を進める方針。本場ハンガリーで行われているように草地や林などで放牧する計画で、大麦、小麦のほかカボチャ、テンサイ、ナッツ等を飼料として与えることを検討している。

国内養豚では、飼料高、輸入ポークとの競合を背景に超多産系リーンタイプの母豚の導入が進む。「高い繁殖成績や発育性の良い豚がどんどん登場しているが、マンガリッツアの導入により豚肉の新たな付加価値の創造をめざす」とし、今後は町おこしなど地域活性につなげたいと考えている。

TPP発効を睨んで、規模拡大や生産の効率化により国際競争力を高める動きが加速するが、穀物飼料の大半を海外に依存する国内でコスト圧縮を図るのには限界もある。海外戦略の新たな切り口として、効率よりも品質に重点を置いた経営、付加価値を創出する取り組みが見直されている。(全国農業新聞2016.8.12付)