“美味しい牛肉づくりは素牛づくりから”をスローガンに、日本初、子牛農家によるブランド牛の普及に挑戦する「八重山郷里素牛生産者グループ」。石垣島、与那国島など和牛繁殖の一大産地である沖縄・八重山の子牛農家の有志により2013年10月に発足させた。

八重山生まれの美味しい黒毛和牛をめざし、子牛の産地を打ち出した「八重山郷里牛」を開発。①血統は但馬系に限定②出荷月齢32カ月③雌牛のみ―という厳しい基準を設けている。

子牛の生産履歴カルテを作成し透明性を高め、自らがお肉の提供店へと足を運ぶほか食材ツアーなどを企画しシェフらを産地に招いた。八重山の生産状況や作り手の想いを伝えることで信頼を築き、本物志向のホテル、レストランを中心に国内外で販路を開拓してきた。

一般に流通する牛肉は肥育地や飼料、肥育農家の名前を冠したブランドが主体。子牛農家によるブランド化の事例は、肥育農家向けに素牛提案を前提としたものしかなく、牛肉としてのブランド化は異例だ。

子牛の産地情報が引き継がれたとしても、提供店でお肉の繁殖地を表現するには難しさがある。肥育農家、流通の理解なしには実現しないし、提供店が肉牛の生産過程を正しく理解し、食事するお客さまに適切に説明する必要があるからだ。

八重山郷里牛の活動にいち早く理解を示したのが名古屋東急ホテルの鉄板焼ロワール。3年前から開催される八重山郷里牛フェアでは、生産履歴や血統の情報とともに、子牛農家の名前が紹介されお肉が提供される。

メンバーである子牛農家5〜6人が肥育農家とともにイベントへ駆けつけ、お客さまと交流を図る。毎年参加する顧客もおり、キャンセル待ちがでるほどの人気だ。子牛農家にとっても得る物が大きい。自分が託した子牛が肉になり、美味しいと喜ばれる場面に立ち会うことができる。

八重山郷里牛が支持される背景には、つねにお客さまを意識した姿勢があった。「調理技術、見せ方、ホールのサービスまでが加わり和牛産業が成り立っていることを知った」と生産者グループの東竹西信行リーダーは語る。その言葉に生産・販売の双方が現場を理解した取り組みの大切さが象徴されている。(全国農業新聞2016.9.9付)

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