2018/03/28

全国農業新聞/ドライエイジングポーク

ドライエイジングというと牛肉のイメージが強いが、最近ではドライエイジングポーク(以下、熟成豚)を提供するレストランを見かけるようになった。

「豚肉は長期間の熟成には適さない」との固定観念があったが、百聞は一見に如かず。牛豚それぞれに大型の専用熟成庫を保有し、熟成肉の販売や委託熟成を手がける食肉卸・小川グループの豚肉専用熟成庫を視察した。

小川グループの豚肉熟成庫は千葉県旭市にある。熟成するのは地元・千葉県で生産された豚肉のうち、熟成に適した肉質の骨付ロースのみ。専属熟成士を配備し、熟成庫の室温は3℃以下、湿度70〜80%に保たれ、適度な風気が循環した熟成庫で約40日間かけて熟成させる。

多様な品種や部位が熟成庫に保管される場合、庫内に様々な香りが入り混じり雑味の元になることがあるが、熟成する豚肉の肉質や部位を統一しているため、庫内の香りは単一でクリーンな印象。熟成庫には最大で960本分のロースを保管することが可能だが、600〜800本程度にとどめ、熟成庫の開閉は必要最低限しか行わず、庫内環境を安定させている。

熟成過程で肉の表面にカビ等が発生するが、同社のモニタリング検査では豚肉中側の菌数はとても低く、適切に表面を除去すれば衛生に問題なく供給できることが実証されている。熟成後の肉をトリミングする際に最終製品への菌の付着を防止することが重要だ。

外食業界では食材費や人件費の上昇を背景にメニューの値上げが相次ぐ。安易な価格競争を続けることは難しい状況下、付加価値商材の開発、投入により顧客の取り込みを図ることが不可欠になりつつある。

この数年間で大幅にコストアップした牛肉メニューは素材をイベリコ豚やアグー豚などの銘柄豚に切り替えられるケースもある。小川グループの熟成豚の卸価格は一般豚の3倍程度と高い。それでも「牛肉よりは安価に差別化できる商品として熟成豚を検討するケースは増えている」(水野徳和部長)という。

適切に管理された熟成豚はほのかなナッツ香とともに、凝縮したうま味を楽しめた。ビーフステーキと比べても遜色ない重厚な味わいであった。

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