2018/11/02

全国農業新聞/宮崎牛の認知度

このところ首都圏で宮崎牛を目にする機会が増えたように思う。背景には和牛のオリンピック「全国和牛能力共進会」で内閣総理大臣賞を3大会連続受賞したこと。海外への輸出拡大で世界的な認知度も高まった。

 今年10月に開催された「東京食肉市場まつり」では初の推奨銘柄に選ばれ、2万8千人以上が来場する盛況ぶり。県産品の販促を担う県東京事務所には「宮崎牛の問い合わせが増えた」(北村明彦主任)。  

11月1日からはホテルオークラ東京・鉄板焼さざんかで宮崎牛フェアがスタート。1ヶ月にわたり宮崎牛はじめ県の食材・調味料を織り交ぜたコース料理が提供される。食材選定には私も協力させていただいた。

フェアでは複数の生産者が手がけた宮崎牛が供されるが、第一弾で投入したのは松山牧場(都城)のヒレ、サーロイン。松山牧場は私が注目する県内肥育農家の1人。雌牛に負けない去勢牛の肉質をめざし、但馬系の血統にこだわる。

効率化のため規模拡大を図る農家が主流だが、三代目の松山龍二さんは「頭数を絞り、手を掛けたい」と話す。現在の飼養頭数は約100頭。地元繁殖農家と連携し、モネンシンフリーに取り組み、粗飼料も7割は地元で自給し、濃厚飼料も地元や国内で調達したいとの夢を持つ。

出来栄えの良い牛は半丸分を自ら買い上げレストラン等へ納品するほか、地元のイベントで串焼きにして販売。消費者と顔が見える関係を築き、裏切らない肉を届けようと奮闘している。

フェアの味(み)どころステーキだけはない。野菜は自然生態系農業を目指す綾・早川農苑のものを採用した。無農薬・無化学肥料で育てられた野菜は1つ1つの味わいがとても濃厚だ。

ステーキに添える調味料も面白い。霧島の蕎麦屋・がまこう庵の柚子胡椒を用意。一般的な緑や赤い柚子胡椒とは違い、完熟した柚子と唐辛子を使うため黄色い。米麹を加えることで旨味が増し、味に丸みがあり、肉料理の格が一段上がる。

フェアを通じ、宮崎牛をはじめたくさんの作り手の想いと食材の魅力が多くの方に届くことを楽しみにしている。

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