2022/06/11

Kei Shiogai(塩貝圭)ワイン会、六本木レグリスにて開催

ブルゴーニュで注目の日本人生産者、ジュヴレシャンベルタンなど白赤4種提供

Kei Shiogai(塩貝圭)のワインを嗜む機会を得ました。

Kei Shiogaiワインのファーストヴィンテージを味わう会

 フィリップ・パカレで2015-2017年まで白ワインの醸造責任者を務め、2018年には赤ワインまで全てを統括する立場に。 その後、アルマン・ルソーではカーブ責任者のポジションを経て、2020年からはドメーヌ・ルーロで働きながら、ついに自らのワインをリリースされました。

 特筆すべきは、現地フランス人生産者ですらコネクションがなければブドウを購入することができないポマール、ジュヴレ・シャンベルタン、ジュヴレ・シャンベルタン1er Cru シェルボトド、シャルム・シャンベルタンの特別な区画からブドウを手当てしていること。 「ふつうはあり得ないこと」だそうで、塩貝氏に対する現地ドメーヌの方々の信頼がうかがい知れます。

丁寧に収穫したブドウはとても厳しい基準で選果され、一切の妥協を許さない醸造工程を経て生み出されたワイン全8種類のトータル生産数は8000本のみ。 その希少なファーストヴィンテージ2020年を味わう会が、東京六本木・レグリスで開催されたのです。

リグリス 波多野香シェフソムリエ、ルシオール 梅木雅彦代表

・ブルゴーニュ ブラン ペラン
・ジュヴレ シャンベルタン 
・ジュブレ シャンベルタン バラック
・ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ シェルボッド

Kei氏を知ったのはfacebookのサブスクリプションページからでした。当初は、Kei氏が発信するフランス現地生産者のこと、天候や土壌、栽培のことなど、ワインに関する情報が興味深く、軽い気持ちで参加しました。 当然のことながらKei氏の経歴も全く知りませんでした。(何せ塩貝とは異なる偽名を使用されていたくらいですから。)

私の場合、牛肉の香りについて語る際に匂いのメカニズムをお話しすることが多いのですが、サブスクリプションページでも匂いを図解されていたのが印象的でした。また、現在のフランスワインに対する懸念についてもしばしば指摘されており、私が日本の和牛産業に常々感じていること、美味しい肉づくりへの考えに重なるものがあります。

こうした情報やKei氏のワイン造りへの情熱、ブルゴーニュへの想いに触れる中で、叶うものなら彼の手掛けたワインをぜひ購入したいと思うようになり、4月のサブスクリプション向けの先行販売では、ファーストヴィンテージ4種すべてを購入しました。

 ワインが自宅に届いたのは4月末のこと。とはいえ、2020年ということですぐに抜栓するのはやはり躊躇します。

「もぎたてのブドウをかじったような、ブドウそのものの味わいを知りたい」という気持ち、「せっかくなら寝かせてから味わいたい」という気持ち。

2つの気持ちが交錯したまま決断できずにいたところ、今回のワイン会の案内があり、参加を即決しました。参加することができ本当によかったです。

ワイン会では現地の塩貝氏とオンラインでつなぎ、それぞれのブドウの特徴について本人に詳しくお聞きすることができ、参加者の質問にも答えてくださいました。

冒頭の挨拶では会場が温まっていないためか、はにかみながら天邪鬼な態度を見せるのですが、ひとたびワインの話になれば熱を帯びた言葉がどんどん溢れ出てきます。彼の静かに燃えたぎるような情熱が心を打ちます。 「仕事は熱意である」 そのことを改めて思い出させてくれます。

この日の料理について説明する波多野猛シェフ

またレグリスの波多野猛シェフのお料理が素晴らしかったです。

ワインの感想は複雑でまとめきれませんが、流行病で嗅覚障害が出てから嗅覚が敏感になり、赤ワインはこれまで以上にネガティヴ要素を拾うようになっていたので、自分の嗅覚に自信を失いかけていました。しかし、この日はどのワインも極めて健全で素晴らしい香りと個性に満ち溢れていました。私の鼻は無事だったのだと安堵。

2020年ということもあって、それぞれの特徴、輪郭がくっきりと現れていた気がします。これがテロワールかという。どれも余韻が長く、長く続きました。最後のワイン、「ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ シェルボッド」は、なぜだか2017年のロマネコンティを試飲した時の香りを思い出しました。

 ブルゴーニュを寝かせないで飲むなんて邪道と言われますし、私もそう考えていた時期があるのですが、やはり、その時その時の状態で感じることは沢山あり、ブドウをかじったような味わいはまた格別の贅沢であります。  自宅のワインは静かに眠らせて、味わう日を楽しみにします。素晴らしい体験、時間を共有させていただき、ありがとうございます。

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