和三盆のような上品な甘みと深い味わいを表現
和牛の三大銘柄の一つと称される米沢牛の先駆者・名匠鈴木寿一。
平成9年に全国肉用牛枝肉共励会で雌の部・最優秀賞を獲得、米沢牛の名を全国に広めるとともに、長年にわたり和牛のおいしさの研究に情熱を注ぎ“米沢牛らしさ”を追い求めてきた。何より大切にしているのが、米沢牛の生命ともいうべき肉の甘みへのこだわり。「上質な和三盆のような、口の中ですっと溶ける品格ある甘み」。そんな肉をめざして、水田稲作と連なった昔ながらの牛飼いを貫いている。
寿一さんが理想とする肉は赤身の色が脂に溶け合い、透明感があり、照り、きめ細かさのあるもの。肉のおいしさには血統が大きく関係することから、優位性の高い但馬牛の血統を引き継ぐ雌牛を導入し、32〜33カ月齢までじっくりと飼い込む。NON-GMO(非遺伝子組み換え)の大麦を主体に、米ぬか、米、シロップ、ウィスキー粕などを混ぜ合わせて蒸し上げた独自のエサを牛に与え、“練り”があり舌触りが良く、風味ある肉に仕上がるのだという。
大型農場が主流となり、飼養規模や効率化を推し進める動きが多い肉牛業界だが、寿一さんは手間ひまを惜しまず、自然の農耕サイクルに則した牛飼いに徹している。自分の田んぼの規模にあわせて少しずつ牛を増やしてきたため、牛に与える稲わらはすべて自家産のもの。農薬の使用も最低限に抑え、どんな稲わらなのか、把握したものだけを牛に食べさせている。
「米沢牛生産者として“ピンもの”をつくる責任を感じている。ブランドとは信頼の対価であり、裏切りのない品質なしには成立しない。小さな産地ではあるが、本物を求めるお客さまに、おあつらえものをつくるような気持ちで、一頭一頭、真心込めて、満足していただける米沢牛をお届けできるよう日々精進したい」
生産概要
農場 | リベラルファーム米沢 |
代表者 | 鈴木寿一 |
生産地 | 山形県米沢市 |
品種 | 黒毛和種、雌のみ |
飼養規模 | 肥育専門86頭 |
出荷頭数 | 年間40頭 |
出荷月齢 | 32カ月 |
と畜場 | 東京食肉市場、米沢食肉公社、山形県食肉公社 |