ことし2月、19年ぶりに南米のウルグアイ産牛肉が輸入解禁された。日本では聞き馴染みが少ないウルグアイは世界8位の牛肉輸出大国。国土は日本の半分、人口350万人弱の小さな国ながら、肉用牛の飼養頭数は1200万頭。日本の4倍以上もの肉用牛が飼養されている。
人口が少なく輸出立国だが、1人当たり牛 肉消費量は年間60kg程度と日本人の6倍で牛肉を楽しむ文化が定着している。国土の8割以上が牧草地に覆われ、生産される牛肉のほとんどがグラスフェッドビーフ。自然に即した生産体系でホルモン剤や抗生剤は一切フリーとなっている。
ヘレフォード65%、アンガス25%と良質な英国英品種が9割を占める。さらにイネ科、マメ科などの栄養価が高い牧草を食べて育つためグラス臭が少なく、ジューシーな味わいが特徴だ。
国際的に品質価値が高いウルグアイ産だが、船便では現地加工から日本に到着までに50〜60日程度かかる。輸送距離の長さが輸出拡大のハードルとなり、日本ではフローズン輸入が主体であった。
この状況に風穴を開けたのがステーキ&ハンバーグレストランのブロンコビリー(名古屋・竹市克弘社長)。チルドでの扱いを開始し、5月27日から全国136店舗でウルグアイ産を使った「炭焼き 超厚切り 熟成サーロインステーキ」の提供をスタートした。
導入背景について竹市社長は国際的な牛肉価格の高騰を指摘。米国産は2004年から1.5倍以上高騰し、TPP11発効によりカナダ産、NZ産の需要増で競争が激化する中、「ステーキ専門店として新たな商材を模索する必要があった」と説明する。
「ウルグアイ産は牛が小ぶりでロースの盤が小さく、厚切りで提供できるのがメリット。当社の強みの炭焼きで、外はカリッと、中はジューシーに仕上がる。ブロンコビリーの調理法とウルグアイ産の赤みのおいしさがマッチした商品」と自信をのぞかせる。
チルドでは輸送期間が長い分、国内に到着してからの賞味期限は短くなるためリスクもあるが、中長期的に提案・訴求し年間400tを扱う計画。