ことし7月、米国産ラムの輸入が再開された。03年12月のBSEによる輸入停止以来、15年ぶりの解禁で、すでに3社4工場(11月末現在)が米国農務省(USDA)による日本向け輸出認証を取得し販売が本格始動する。
このほど米国食肉輸出連合会(USMEF)が都内で開催したアメリカン・ラムトレードセミナーにはホテル、レストランや食肉業界関係者200人以上が参加し、米国産ラムへの注目度の高さをうかがわせた。
米国産ラムの大きな特徴はサフォーク種やハンプシャー種、トーセット種などの肉用種が主体であること。それにより羊毛用のメリノ種が中心となっているオセアニア産に比べ肉量、味に違いが現れる。
枝肉重量を比べるとNZ産(14〜20kg)、豪州産(18〜27kg)に対して米国産は27〜36kgと大きく、フレンチラックやロース芯が大きく、骨に対して肉量が多く歩留が良いのが特長となっている。
また飼養方法にも違いがある。オセアニア産は放牧により牧草のみで育つのが主流だが、米国産ラムはフィードロットと呼ばれる肥育場で出荷前の30〜45日間にわたり穀物肥育が行われ、ほどよい脂肪交雑が入った肉質のラムに仕上がる。
牧草の生育期に限らず通年供給も可能となることや、放牧のみで育てるよりも肉の風味にばらつきが少ないのも穀物肥育のメリット。「マイルドで独特な臭みも少なく、リッチでジューシーな味わいがある」(岳道ジャパンディレクター)という。
セミナー終了後には米国産ラムを活用したラムラックやレッグ、ショルダーなど各部位を使った料理のテイスティングが行われ、その風味の良さ、ボリューム感に驚く関係者が多かった。
現在、国内のラム市場は着実な伸長をみせ、2017年の輸入量は前年同期比26%増で推移。2018年も増加基調を維持している。豪州、ニュージーランド産がほぼ独占している状況だが、米国産ラムの関税はゼロ。その品質価値の高さから米国産ラムに期待を寄せる声は高い。