2016/11/05

片平梨絵の食肉ウォッチ(8)全国農業新聞/深化続ける肉業態の勢い

赤身肉、塊肉(かたまりにく)、熟成肉・・・。国内の外食は「肉業態」の勢いが止まらない。“肉食女子”“肉会”などの特集が女性誌などのメディアで大々的に取り上げられ、肉女性に浸透。ステーキが話題を集め、赤身肉のおいしさを訴求する店が急増した。

炭水化物を控える糖質制限ダイエットの流行も肉食を後押しした。栄養豊富で低カロリーな赤身肉の豪快な楽しみ方が瞬く間に消費者の心をつかんだ。

こうした肉ブームの立役者はやはり、アメリカン・ビーフであろう。遡ること3年ほど前、米国産牛肉の輸入条件が変更されたことが大きい。好きな部位を好きなだけ調達できるアメリカン・ビーフの輸入量が増加し、まず焼肉業態が復調。牛タン店も増加した。

同時にTボーンやLボーンなどの骨付きの輸入も可能になり、ウルフギャング・ステーキハウス、BLTなど本格的なステーキハウスの日本進出が相次いだ。

直近ではアメリカ・カリフォルニア州の高級ステーキ「ALEXANDER’S STEAKHOUSE(アレクサンダーズ ステーキハウス)」が日本1号店を11月10日、東京・汐留シティセンター42階にオープンさせ、早くも注目を集めている。国内レストランでは最大規模という熟成庫を構え、アメリカから空輸した牛肉をドライエイジングし、炭火で焼き上げ提供される。

アメリカ・カリフォルニア州の高級ステーキ「ALEXANDER’S STEAKHOUSE(アレクサンダーズ ステーキハウス)」の1号店が汐留シティセンター42階にオープン

肉業態が多様化し、つねに進化を遂げていることも肉ブームを後押ししている。急速に店舗を増やした肉バル業態では「ワインと肉」にとどまらず、ウィスキー、焼酎など提案が深化した。

ステーキでは、2013年12月に1号店をオープンした「いきなり!ステーキ」が象徴的。お客の目の前でオーダーカットしたステーキを立ち食いで食べる斬新なスタイルで圧倒的な支持を獲得。わずか2年8ヶ月で100店舗を達成した。

最近では、海外の話題店が上陸したことで、原料、素材にこだわったプレミアムバーガーの存在感が増している。バーガーはファストフードの代表と捉えられていたが、肉料理としての立ち位置を確立しつつある。 (全国農業新聞2016.11.1付)

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