北海道で有機による肉牛生産に向けた取り組みが始まろうとしている。今年4月、放牧や自給飼料多給により牛肉生産を行っている農場が結集し、「北海道オーガニックビーフ振興協議会」を発足させた。
参加したのは、前述の北里大学FSC八雲牧場のほか、北十勝ファーム(足寄町)、高橋ファーム(えりも町)、榛澤牧場(釧路市)、ワタミファーム弟子屈牧場、西川牧場(様似町)の6農場。
協議会では今後、有機JAS認定の取得支援、オーガニックビーフの供給体制の確立、増産のための施設更新の後押しなど生産から販売まで連携した態勢構築を目指す。
国内の有機畜産物の認定制度(JAS規格)が制定されたのは平成17年。有機畜産物のJAS規格では、「飼料は主に有機の飼料を与える」「野外への放牧などストレスを与えずに飼育する」「抗生物質等を病気の予防目的で使用しない」「遺伝子組換え技術を使用しない」など厳しい飼育条件がある。
このためJAS取得農場は津別有機酪農研究会(牛乳、牛肉)、北里大学獣医学部付属FSC八雲牧場(牛肉)、松本牧場(生乳)、大地牧場(乳)、内外食品(鶏肉)、農業生産法人黒富士農場(鶏卵)の6カ所のみだった。
農水省生産局農業環境対策課によると、世界のオーガニック市場は拡大を続け、トップの米国の販売高は3.2兆円、EUも3.1兆円。年率6~8%の伸びを見せている。一方で日本の市場規模は欧米より1ケタ小さく、約1300億円という。
昨年12月にはイオンがフランスのオーガニックスーパー「ビオセボン(Bio c’Bon)の日本1号店をオープンさせた。売り場にはフランス直輸入のBIO(ビオ)ワインやチーズ、旬の有機野菜、豪州産のオーガニク牛肉、明治オーガニック牛乳など内外の有機JAS規格認定商品のほか、JAS認定に向けて取り組んでいる農家の商品も並ぶ。
ライフコーポレーションも昨年6月に「オーガニック」、「ヘルシー」をキーワードとする新業態の展開に乗り出すなど食品メーカーも有機JASの動きを加速させている。2020年東京五輪を視野に国内市場の拡大が予想され、オーガニックを巡る動きが活発化しそうだ。