全国農業新聞/ブロンコビリーの経営姿勢

東海地区を中心に125店舗(2018年3月末)を展開するステーキレストランチェーン「ブロンコビリー」(竹市克弘社長)。独自のメニュー戦略や人材教育など、その経営姿勢は同業他社とは一味も二味も違う。

特に「飲食業は教育業である」との創業者の考えに根差した社員教育には年間2〜3億円を投下し、海外研修も積極的に実施している。

そうした成果は外食業界第2位の経常利益率、無借金でかつ自己資本比率80%超を誇る財務体質の強さにも表れているが、メニュー開発とその磨き込みの強さはオープンキッチンスタイルの『炭火焼き』ステーキ&ハンバーグ、『大かまど』で炊いた魚沼産コシヒカリ、季節ごとの『サラダバー』に、創業40年の歴史とこだわりが凝縮される。

昨年11月には新メニュー「黒毛和牛ハンバーグ」(160g・1880円)を投入。海外原料を中心に提供してきたが、世界的に原料高が進む中で、最上価格のヒレやリブステーキに次ぐご馳走感のあるメニューとして位置付けた。

原料にこだわり、神戸ビーフの牛脂を採用。より融点が低い神戸ビーフの牛脂を黒毛和牛のミンチ材に練り込むことで雑味がなく後味の良い上品な味わいに仕上げた。

ナイフを入れると良質な脂があふれ出るが、しつこさがなく「風味がとても良い」と評判も上々のようで、黒毛和牛ハンバーグは今後も継続提供していく方針。竹市社長は「レシピの磨き込みと提供方法の見直しを進めていく」と意欲的だ。

長年にわたり、主原料の米国産牛肉を自社輸入し、品質の安定と長期大量契約よる安価での調達、さらには自社工場で原料素材、部位の特徴を生かし余すことなく活用する―。同社が蓄積してたき商品開発のノウハウは、黒毛和牛のメニュー化にも活かされている。

大切なことは国産か輸入かではなく「品質と提供価格のバランス」。「全員が経営者、お客様に価値を感じていただく事に対して一丸となって日々取組でいく」(竹市社長)。業界トップクラスの収益力は、その結果の一つでしかない。他社の容易な追随を許さないメニュー開発は、同質化や価格競争に陥らない道でもある。

全国農業新聞/米国産ラムの輸入再開について

ことし7月、米国産ラムの輸入が再開された。03年12月のBSEによる輸入停止以来、15年ぶりの解禁で、すでに3社4工場(11月末現在)が米国農務省(USDA)による日本向け輸出認証を取得し販売が本格始動する。

このほど米国食肉輸出連合会(USMEF)が都内で開催したアメリカン・ラムトレードセミナーにはホテル、レストランや食肉業界関係者200人以上が参加し、米国産ラムへの注目度の高さをうかがわせた。

米国産ラムの大きな特徴はサフォーク種やハンプシャー種、トーセット種などの肉用種が主体であること。それにより羊毛用のメリノ種が中心となっているオセアニア産に比べ肉量、味に違いが現れる。

枝肉重量を比べるとNZ産(14〜20kg)、豪州産(18〜27kg)に対して米国産は27〜36kgと大きく、フレンチラックやロース芯が大きく、骨に対して肉量が多く歩留が良いのが特長となっている。

また飼養方法にも違いがある。オセアニア産は放牧により牧草のみで育つのが主流だが、米国産ラムはフィードロットと呼ばれる肥育場で出荷前の30〜45日間にわたり穀物肥育が行われ、ほどよい脂肪交雑が入った肉質のラムに仕上がる。

牧草の生育期に限らず通年供給も可能となることや、放牧のみで育てるよりも肉の風味にばらつきが少ないのも穀物肥育のメリット。「マイルドで独特な臭みも少なく、リッチでジューシーな味わいがある」(岳道ジャパンディレクター)という。

セミナー終了後には米国産ラムを活用したラムラックやレッグ、ショルダーなど各部位を使った料理のテイスティングが行われ、その風味の良さ、ボリューム感に驚く関係者が多かった。

現在、国内のラム市場は着実な伸長をみせ、2017年の輸入量は前年同期比26%増で推移。2018年も増加基調を維持している。豪州、ニュージーランド産がほぼ独占している状況だが、米国産ラムの関税はゼロ。その品質価値の高さから米国産ラムに期待を寄せる声は高い。