2020/06/17

佐々木譲さんの「岩手水沢牛」

豊かな水、土壌が織りなす田園風景。若い感性が伝承する昔ながらの牛づくり。

佐々木譲さん

美しい自然、肥沃な大地が育む水沢牛

東北有数の和牛産地として数多くの銘柄牛を輩出してきた岩手県奥州市。とりわけ佐々木牧場のある水沢地区(旧水沢市)は北上山地と奥羽山脈に挟まれ、中央に北上川が南流し、東部は北上山地に続く丘陵地であり、県南の穀倉地帯として豊かな水と肥沃な土壌に恵まれた美しい田園風景が広がります。

「岩手水沢牛」の復刻に注力

市町村合併による銘柄牛の総称化が進められる中、佐々木譲さんは“昔ながらの牛づくり”を伝承しながらも若い感性を発揮し、「岩手水沢牛」の復刻に力を注いでいます。昔ながらの牛とは、小ぶりながらもしっかりと長く飼い込いこむことで深い味わいが醸し出される黒毛和牛。全国的に増体型の大きな牛が主流になる中、美味しさに優位のある但馬系の血統の雌牛にこだわり長期肥育しています。

大麦主体の自家配合飼料で上質な霜降り

ただ長く飼えば美味しい肉に仕上がるという訳ではありません。素牛導入後は牛の能力を見極めながら、先代から受け継ぐ麦主体のエサを自家配合飼料し、約2年間かけて、じっくりと飼い込んでいきます。出荷月齢は32~36ヶ月。佐々木さんの水沢牛は飼料にトウモロコシをほとんど使っていません。脂の融点が低く、上品な霜降りが特徴。とろけるような口溶けが食べる人を魅了します。

生産者の声

自家配合の飼料、出荷月齢の長さに徹底してこだわっています。自家配合飼料は手間がかかっても季節や環境により細かい調整ができるのが利点。また、麦エサはトウモロコシ主体のエサに比べ、その味わい、口溶けの印象が格段に向上します。効率重視の畜産経営が主流になりましたが、「岩手の佐々木は小さいけれど良い牛をつくる」という先代から続く評価を裏切ることのないよう、昔ながらの技術を継承し、職人であり続けたい。(佐々木譲さん)

生産概要

農場岩手県奥州市水沢区、江刺区
代表者佐々木譲
生産地岩手県奥州市
品種黒毛和種、雌のみ
飼養規模肥育230頭
出荷頭数年間110頭
出荷月齢32カ月~36ヶ月
と畜場東京食肉市場

コラム一覧へ