2016/05/28

片平梨絵の食肉ウォッチ (2)/全国農業新聞/再生産可能なオリジナル銘柄牛を開発

美味しくお肉を食べてもらい「笑顔の環を繋げていきたい」との想いで3年ほど前からBeef Smile Projectを始めた。その象徴としてオリジナル銘柄「美笑牛」(びしょうぎゅう)を開発。生産・流通・消費の各段階で真の価値を共有し、再生産可能な仕組みを創り上げることを目指し、従来にはないチャレンジをしている。

品種は交雑種だが、血統、肥育期間などに高い基準を設けることで美味しさに徹底してこだわった。特殊な規格であることから、銘柄の定義に肉質等級は盛り込んでいない。1頭の牛を生産するために必要な原価は肉質等級に関わらず一定だ。どの格付でも全量買い受ける姿勢がなければ、コスト的にリスクがある商品を生産者が継続的に作ることは難しい。

取引価格は原則、コスト積み上げで算出することを説明した上で提案している。卸売市場の建値をスライドする従来の値決めでは、お店やレストランは相場上昇時を想定した提供価格を設定することになり、結果的に適正価格とのギャップが生じることがある。

私のチャレンジは多くの人の応援、ご厚意で成り立っている。流通大手の話題店で打ち出してもらえることになり責任を感じている。1年後、2年後に「美笑牛」を指名買いしていただけるような地域に愛される商品に育ててもらえるよう丁寧に伝えていきたい。(全国農業新聞2016.5.13付)

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