「肉のダイエー」の真価を探る、系列牧場と自社PCで食のSPA化推進3

MD商品のデリカ化を推進、牛めし弁当やこだわり総菜開発

IMG_7481中食強化は変化するお客さまのライフスタイルに寄り添うための最重要課題の1つ。RTE、RTC、RTHのどの分野においても、働く女性、プレシニア、単身者をターゲットに『美味、健康、簡便』を切り口とした商品の充実を図り、売上構成比で5%増を計画する。

昨年は働く女性をターゲットに、そのライフスタイルに留意した『オーブン焼き』シリーズを発売したが、今期は団塊の世代をターゲットに、お酒と食事のシーンに寄り添って『おかず×おつまみ(おかつま)』になる商品を開発する。

このカテゴリーで最も力を入れているのが「お肉のサラダ」。MD商品を原料に、肉を主役としたサラダとしてプライムビーフローストビーフ、いきいき鶏むし鶏、イベリコ豚ローストポークなど、美味しさにこだわった食材を具材とし、生姜、にんにく、バジルなど食欲が増してお酒にも合う味付けの商品を充実させた。

浦野浩治郎商品統括兼食品商品本部長

「これらの施策により、高鮮度感、高密度感、高品質感のある売り場を構築するとともに、積極的に料理提案も行う。多様化したライフスタイルにどう提案していくのか。要所、要所でお客さまの声を拾えるコーナーが必要で、いちかわコルトンプラザ店ではさつま姫牛ショップや鮮魚の対面型サークル二加え、レシピ提案からお客様の食事相談にも対応するキッチンサポートコーナー『dai-docorro』を導入した。

スーパーマーケットはセルフが基本だが、効率化も強弱をつけながら進めることが大事」。ダイエーとして強みを発揮できる分野を特化しつつ、都市型SMのフォーマット確立をめざす方針」(浦野本部長)。

「肉のダイエー」の真価を探る、系列牧場と自社PCで食のSPA化推進2

焼肉の“負”を軽減した『家焼肉プレート』

新製品「家焼肉プレート」シリーズの発売開始

一方で、“お客さまのライフスタイルに革命を”—をテーマにした商品開発に注力する。昨年は「3段熟成プライムビーフ」でステーキに革命を起こしたが、今期は焼肉を再強化メニューに据え、その一環として家庭での焼肉の負の軽減を目指した新製品「家焼肉プレート」シリーズを3月6日から新発売した。焼肉は外食における市場規模が伸長を続けている半面、家庭での食卓出現率は減少傾向にある。

「焼肉の調理で生じるにおい、煙、油はねを解消し、家庭で焼肉店の味が楽しめる焼肉プレートをメーカーと共同開発した。アルミ焼プレートのままフライパンで加熱する間接加熱方式で、加熱時のプレート温度が180度前後に保たれることから焦げつきにくく、煙の発生が抑制される。アルミ皿のまま調理し、食卓に出すことができるので後片付けも簡単な画期的な商品である」。

第一弾として牛肉5品目、豚肉3品目、牛豚混合1品目の計9品目が発売されたが、今後も新しい商品を投入するとともに、鮮魚でも同様の商品展開を図る計画。

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「肉のダイエー」の真価を探る、系列牧場と自社PCで食のSPA化推進

イオングループの大都市シフトの中核として、食を基軸にした新業態フォーマット「フードスタイルストア」および「SM」の確立をめざすダイエー。グループ子会社も含め、長年培ってきた食品事業部のノウハウを結集し、食のSPA化(製造小売業)を強力に推し進めている。6月20日にはダイエー赤羽店をフードスタイルストア業態1号店としてリニューアルオープンし、「働く女性」「単身者」「プレシニア層」を主要顧客と位置づけ売り場を進化させた。

竹内真人ミート部長

このうち生鮮強化のリード役を担うミート部では昨年11月29日から「肉のダイエー」を標榜し、独自商品の開発や精肉、関連総菜の拡販を進めている。浦野浩治郎商品統括兼食品商品本部長と竹内真人ミート部長に今期の施策について聞いた。

食のSPA化とはどのような取り組みですか?

ダイエーMD商品の象徴ともいえる「さつま姫牛」は黒毛和種の雌牛に特化している

ダイエーの食のSPA化の象徴的な商品が系列牧場で生産する「さつま姫牛」「さつま王豚」。今年で発売9周年を迎える「さつま姫牛」を生産する鹿児島サンライズファームは黒毛和種の雌牛のみに特化し、預託農場を含め飼養頭数約4000頭。

今期は売上高2ケタ増を目標に、年間出荷頭数を100頭ほど増頭する計画。イオングループへの供給はもちろん、海外輸出も視野に検討している。直営牧場で生産しているメリットを活かすため、

  • 1.スペック変更による霜降切り落としや希少部位の赤身肉の商品化
  • 2.内臓肉の味付焼肉を展開
  • 3.牛めし弁当やこだわり総菜(シチュー、カレーなど)の商品開発―を推進する。
系列牧場の鹿児島サンライズファーム
「さつま王豚」の出荷頭数を増強した

「さつま王豚」は国内豚価が高値推移を辿る中、年間出荷頭数を1000頭増頭した。さつま姫牛と同様に、PC供給商品(しゃぶしゃぶ用など)の拡大や加工品化の促進により、回転率の向上と認知度を高めていく。「こうした対策の要がPCのアルティーフーズの商品開発力。精肉はもちろんのこと、簡単鍋を中心にした肉の総菜の供給センターとして日本一の力があると自負している。

今期は米飯ラインを拡張し、弁当の供給に着手する」。短期・中期の視点でメーカーとライン機器の共同開発や人材投入を拡充し、PC機能の技術革新を図り、切り落としなどの主力アイテムの見栄えを改善するほか、中食商品のロングライフ化を実現する方針だ。

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